93.人吉城 その2

球磨川の豊かな水は、温泉、球磨焼酎、鮎などの土地の名産、名物を生み出すとともに、時には洪水の被害も引き起こします。

特徴、見どころ

豊かな恵みやときには水害をもたらす球磨川

現在、人吉城跡に近づいていくと、人吉盆地の周りの山々からの水を集めた球磨川の雄大な姿が目に入ってきます。そこでは学生たちがカヌーの練習をしているのも見えたりします。

雄大な球磨川
カヌーの練習に使われています

この川の豊かな水は、温泉、球磨焼酎、鮎などの土地の名産、名物を生み出すとともに、時には洪水の被害も引き起こします。最近の出来事としては、2020年6月に球磨川水害が発生し、実際に川沿いにある城跡に深刻な被害をもたらしたのです。城跡は既にビジターを受け入れるところまで復旧していますが、2023年9月時点で人吉城歴史館はまだ休館となっています。

「人吉温泉」の施設
休館中の人吉城歴史観
水がここまで来ました

謎の地下室水槽

歴史館は、城では一番低い川岸地区にあり、かつてそこには大手門、藩の施設、重臣の屋敷などがありました。櫓(隅櫓、大手門脇多門櫓)とこの地区を囲む白壁が復元されています。実は歴史館は、江戸時代に追放された相良清兵衛の屋敷と全く同じ場所にあるのです。

城周辺の航空写真

川岸地区の武家屋敷跡
大手門跡
復元された大手門脇多門櫓
復元された隅櫓

この屋敷について大変興味深いことがあるのですが、屋敷跡の地下室から石造りの水槽が発見されたのです。水槽の水は川から引かれていて、その深さは2m以上あります。今のところ、他の日本の城には類似した事例は見つかっていません。中には、これはユダヤ教の神殿の沐浴施設だったのではないかと考える人もいます。実際の施設とよく似ているとのことです。人吉地域にはキリスト教が禁止されていた江戸時代の間、隠れキリシタンの人たちがいました。そのうちの誰かがユダヤ教に関わっていたのかもしれません。

発見された地下室の水槽、人吉市ウェブサイトから引用

御殿跡を巡る跳ね出し石垣

となりの地区は、以前「御館(みたて)」と呼ばれる城主の御殿だったところです。現在では相良護国神社となっています。御殿に関連するものとしては、池泉庭園、入口のところの堀にかかっている石橋、そして御殿を囲んでいた石垣が残っています。

御館跡
相良護国神社
池泉庭園
入口の石橋と堀

特に、川に面した部分ある石垣は跳ね出し形式になっていて、最上部の列の石が飛び出して積まれ、敵が登って侵入してくるのを防いでいました。そのため、この仕組みは「武者返し」とも呼ばれています。日本の他の城でも滅多に見られないもので、江戸時代末期に築かれた「五稜郭」「品川台場」「龍岡城」に見られるのみです。

人吉城の跳ね出し石垣
五稜郭の跳ね出し石垣
品川台場の跳ね出し石垣
龍岡城の跳ね出し石垣

その石垣の手前の方には水の手門跡があって、球磨川の方に開いています。かつて城が水上交通にも関与していたことがわかります。

水の手門跡
川側から見た水の手門跡

「人吉城その3」に続きます。
「人吉城その1」に戻ります。

投稿者: Yuzo

城巡りが好きなYuzoです。日本には数万の城があったといわれています。その内の200名城を手始めにどんどん紹介していきます。 I'm Yuzo, I love visiting castles and ruins. It is said that there were tens of thousands castles in Japan. I will introduce you top 200 castles and ruins of them, and more!

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