特徴、見どころ
鉢形城公園として整備
現在、鉢形城跡は約5ヘクタールもある広大な鉢形城公園として整備されています。多くの人々がこの公園を訪れ、歴史的な城の遺物や復元物を見学したり、自然の中で散歩したりくつろいだりしています。例えば、公園には大きな桜の木があるのですが、城主であった北条氏邦にちなんで「氏邦桜」として最近有名になっています。是非ご自身で公園を歩き回って、城の重要なアイテムを確認しながら、自分なりに興味を持てるものを見つけていただければと思います。この記事では、城の南側(三の曲輪の外側)から城跡に入り、中心部(本曲輪)を通って、崖の先端部(川の合流地点の近く)まで歩いていくのを追体験する形で進めていきます。
城の正面入口は、通路と八高線が交差する踏切の近くにあります。踏切を越えた後、通路は3つに分かれます。真ん中の舗装された通常ビジターが進んでいく道路、右側のかつての大手道、そして左側の三の曲輪に至る道です。とりあえず公園に来てみたいという方には真ん中の道が便利なのですが、今回は右側と左側の道を選択して、城のオリジナルの道がどうなっていたのかできるだけ迫ってみたいと思います。
城周辺の地図、赤破線は大手道に近いルート、青破線は三の丸に至るルート大手道を進む
右側の大手道は、大手曲輪に沿った大きく深い堀を越えていきます。防りがしっかりしていると感じます。
次に、城の防御の要である四角い馬出しのところで左折します。そこからは城の中心部に向かって進み、三の曲輪と二の曲輪の境界の辺りに達します。
もう一つの馬出しが、道から外れたところにあるのですが、かつての大手道はその馬出しの中を通っていました。
諏訪曲輪を通って三の曲輪へ進む
左側の道は、諏訪曲輪と呼ばれている諏訪神社の参道になっています。そこは、四角く区切られた土地で今でも土塁と深い空堀によって囲まれています。見るからに馬出しという感じです。
もう一本の細道が、その馬出しの側面から三の曲輪の入口の方に出ています。この入口の守りも固そうです。この組み合わせが典型的な鉢形城の防御システムと言えるでしょう。
重要な拠点、三の曲輪
三の曲輪は城ではもっとも高い位置にあり、厚く高い土塁が曲輪を取り囲んでいます。また、内側ではまるで石垣のように見える石積みが土塁を支えている構造になっています。これらの構造物は、現代になってから発掘の成果により復元されたものです。四脚門も発掘によって存在していたことがわかり、同じく復元されています。これまでのところ御殿のような建物の痕跡は見つかっていませんが、この曲輪は城にとってはとても重要な場所でした。