157.八幡山城 その2

山の上には、城跡と現代的な観光地が同居しています。

特徴、見どころ

ロープウェイで山上へ

現在、八幡山城跡を訪れるビジターは通常山麓からロープウェイに乗っていきます。その山麓側のロープウェイ乗り場は、城が築かれたときにそこに移されたとされる日牟禮(ひむれ)八幡宮の近くにあります。八幡堀や古い街並みも周辺に残っており、人気のある観光地になっています。

城周辺の地図

ロープウェイ乗り場
日牟禮八幡宮拝殿  (licensed by 663highland via Wikimedia Commons)
八幡堀と古い街並み

ロープウェイに乗れば、数分で山上のロープウェイ駅に到着します。その駅は、城跡の二の丸の下の方にあり、少し登って二の丸に行くとそこは展望所になっていて、南東の方角に市街地を見渡せます。多くの人たちが素晴らしい景色を楽しんでいますが、城跡としても古い石垣が周辺に残っています。

ロープウェイの中
二の丸にある展望所
二の丸からの眺め
二の丸周辺の石垣

本丸にある瑞龍寺

城の中心地であった本丸には、今は秀次の母親ともが創建した瑞龍寺が建っています。実は、この寺は現代の1961年に京都からここに移ってきたのです。しかし、この城にとっては全く相応しい決断であったと思います。この寺の入り口部分は、桝形と呼ばれる、石垣に囲まれた四角い防御空間となっています。もともとここが本丸の入口だったからです。この寺は、皇室の菊の御紋章を使っていますが、これは後陽成天皇が、ともによるこの寺の創建を援助し、その後は皇室から寺の門跡を輩出したことに由来します(そのため、別名として村雲御所(むらくもごしょ)とも呼ばれています)。

城周辺の航空写真

本丸にある瑞龍寺
門扉には菊の御紋章が使われています
門の内側に残る桝形

北の丸、西の丸のビュースポット

本丸の周りの通路となっている腰曲輪を通って、他の曲輪に行くことができます。本丸を囲む高石垣は、古く粗野にも見えますが、安土城の石垣のようにとても立派です。しかし歴史家によれば、その石垣を完成させたのは秀次なのか、またはその後を継いだ京極氏なのかまだわからないそうです。その中には、石垣の角のラインが縦に丸まってしまっているものがありますが、元々こうだったのか、それとも劣化してしまったものなのでしょうか。

本丸周りの石垣
角が丸まっている石垣

北の丸に行っていただくと、そこもビュースポットとなっていて、北の方に安土城跡や観音寺城跡がある山々が見えます。

北の丸
北の丸からの眺め
安土城跡と観音寺城跡

また、西の丸では西の方に琵琶湖を見渡すことができます。

西の丸
西の丸からの眺め

おすすめの出丸

そして、最近再整備された出丸にも是非行っていただきたいです。この曲輪の周辺の草木が伐採されており、眺望が確保されています(出丸からだけでなく、市街地などからも出丸がよく見えるようになっています)。西の丸から山道を少し下ったところに出丸があります。そこに行けば、市街地をまるでパノラマのように見渡すことができます。また、この曲輪が絶好の見張り台として機能していたことも、容易に想像できます。

出丸
出丸からの眺め
出丸は市街地からも見えます(赤円の中)

それから、この曲輪を囲む石垣を間近に見ながら周りを歩いてみることもできます。この曲輪の石垣の高さは約4mとのことです。ただし、足場は急で不安定な斜面になっているので気を付けてください。

出丸の石垣と市街地の眺め
出丸の石垣(角が丸くなっているのは珍しいそうです)
ライトアップ用の機材もあります

「八幡山城その3」に続きます。
「八幡山城その1」に戻ります。