特徴、見どころ
よく整備された登山道
もし一宮城跡に車で行かれるのでしたら、鮎喰川と山地に挟まれた狭い地域を通る道路を行くことになります。城を守るためにはよい立地であることがわかると思います。城跡への登山道入口は、一宮神社の反対側にあります。ここから標高144mの山頂まで登っていく必要があります。しかし、登山道には石段があり、よく整備されています。
城周辺の地図しばらく登っていくと、登山道に沿った坂に竪堀を見ることができます。これは、敵の攻撃を防ぐための仕掛けです。近くにある分かれ道に入っていくと、倉庫跡があります。
自然の地形を生かした防御システム
登山道の本道の方に戻って進んでいくと、いくつかの曲輪の下にある、切岸と呼ばれる人工的に作られた急崖に至ります。この崖下には、湧水も見られます。ここから更に曲がりくねった登山道が崖を伝って登っていきます。
崖を登った後でも、堀切と呼ばれる人工的に作られた谷の底にたどり着くのみです。敵の軍勢は、上方の曲輪から反撃を受けることになったでしょう。この谷によって、城の中心部と、才蔵丸という曲輪が分けられています。ここから左の方に行けば、才蔵丸に着きます。この曲輪は、三の丸とも呼ばれています。「才蔵」とは、かつてこの曲輪を任せられていた部将の名前に由来しています。
城の中心部へ
谷から右の方に行ってみると、二つの主要な曲輪(明神丸と本丸)がある城の中心部への門跡に至ります。この二つの曲輪は、腰曲輪と呼ばれる細長い曲輪によってつながっています。
その門跡から再び右の方に曲がっていくと、明神丸です。この曲輪はまた二の丸とも呼ばれていて、眺望を楽しむためと思われる縁側付きの建物跡が見つかった所です。今でもここからは、東の方角に徳島県中心部の景色がよく見えます。
本丸のすばらしい石垣
先ほどの門跡に戻り、その前から見て左の方にいくと、ついに山の頂上にある本丸に到着します。蜂須賀氏が築いたすばらしい石垣が突然現れるので驚かれるかもしれません。この城の石垣はとても珍しく、美しいものです。深緑色の縞模様がある緑泥片岩を使って積み上げられているからです。これらの石は阿波の青石としても知られています。同じ石垣の作り方は、蜂須賀氏が一宮城の後で築いた徳島城でも見ることができます。
本丸の中には、若宮神社の小さな祠があるだけです。城主のための御殿の礎石が見つかったのは最近のことで、これも蜂須賀氏によって築かれました。ここからは、鮎喰川を含む周辺地域の景色もよく見渡すことができます。