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特徴、見どころ
大手口から本郭への仮想攻撃
今日、杉山城跡は観光客向けに史跡としてよく整備され、維持されています。城跡は、一時木々や藪に覆われていましが、今ではほとんどが除去されています。そのため、城の土造りの縄張りをはっきりと確認することができます。それでは、敵になったつもりでこの城への攻撃をシミュレートしてみましょう。
例えば、南側からこの城に迫ってみたとします。最初、出発点として大手口に立ってみましょう。実は、ここから本郭に至るためには5つもの曲輪を通り過ぎなければなりません。
外郭から馬出郭、南三の郭へ
外郭と呼ばれる最初の曲輪に入るためには、その入口の前で左に曲がる必要があります。守備側は、攻撃側が左に曲がる前に、左側面に反撃することができます。
外郭に入った後、2つ目の曲輪は馬出郭です。馬出郭に着くには、空堀を越えていかなければなりません。そこには、木橋がかけられていたかもしれませんが、戦いが起きた時には落とされたでしょう。この空堀を渡るときには、南三の郭の屈曲した土塁から右側に反撃されます。
馬出郭は、南三の郭の入口から突き出た小さな空間です。南三の郭土塁の他の屈曲部分から、同じように、この場所にいる敵を撃退できるようになっています。
本郭の堅い防御
その後、南三の郭を通り過ぎて、何とか南二の郭にたどり着いたとします。そこでは、本郭の高い土塁が立ち塞がります。しかも、本郭への直通通路は見当たりません。そこで、左側の井戸郭の方に移動せざるを得ません(この曲輪の入口も他の曲輪と同じように防御されています)。
井戸郭は本郭に通じています。空堀にかかる木橋によって本郭に接続されていたのです。しかし、ここでも前方の本郭の上から、正面と左側面に反撃を受けることになります。本郭の土塁は、攻撃側を包囲するように形作られているのです。結局、攻撃側は、通り過ぎる曲輪と同じ数だけ側面攻撃(横矢)を受け、損害を被ることになります。
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