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特徴、見どころ
城らしさを残す本丸
現在鹿児島城跡は、本丸は鹿児島県歴史・美術センター「黎明館」に、二の丸は他の公共施設に、そして城山は城山公園となっています。特に本丸は今日でも城のように見えます。周りを囲む石垣が今でも健在であり、更に最近正門が復元されたからです。本丸の手前に立ってみると、島津氏の本拠地としての威厳を感じます。
城周辺の航空写真
水堀に囲まれている石垣は、よく加工された石を精密に積み上げて築かれており、この技法は「切り込みハギ」と呼ばれています。この石垣に関して面白いのは、一か所の角の石が内側に向かって屈曲していて、これは「入隅(いりすみ)」と言います。この角部分は北東側を向いており、鬼門として不吉な方角とされていました。よって築城者は、このような特殊な築き方をすることで、この方角からの災厄を防ぐことができると考えたのです。
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正門の「御楼門」は石垣の間でとても目立っています。この門は日本の城門の中でも最大級のものと言われていて、その高さと幅はともに約20mあります。1873年に焼失して以来、147年経った2020年に古写真や現存する礎石に基づき、木造建築として復元されました。
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門前の堀を渡る現存する石橋を渡って門に入っていきます。門の内側には別の石垣が立ちはだかっているので、右に曲がる必要があり、更に曲がりくねった石段を登って曲輪の中心部に至ります。その石垣には無数のへこみがあります。これらは西南戦争のときの政府軍による砲撃の弾痕であり、いかにこの攻撃がすさまじかったかがわかります。
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黎明館のすばらしい展示
黎明館は優れた歴史博物館で、鹿児島県に関する数多の歴史、民俗、芸術品を展示しています。館内では鹿児島城を含む県の歴史や文化について学ぶことができます。あまりにも見るものが多くて一日では回り切れない程です。その中でも、鹿児島城、志布志城(県内にある城)、出水外城(麓)などの歴史的文物の模型が素晴らしいので見学することをお勧めします。
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また、歴史的出来事を再現したジオラマもたくさんあり、ビジターがより理解できるようになっています。このような活動をこれからも続けていただき、この施設ももっと人気が出ればよいと思います。
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自然公園のような城山
本丸の裏手にある城山公園はとても行きやすい場所です。山自体は標高107mでそんなに高くないからです。山頂には山道をウォーキング感覚で登って行くことができ、史跡というよりも自然公園といった感じです。これは、薩摩藩が城の一部としてはこの山をほとんど使わなかったことと、江戸時代の間、民衆の立ち入りを禁止していたからと思われます。わずかに、島津氏以前にここに山城を築いた上山氏の遺跡として、土塁に囲まれている曲輪の跡が残っている程度です。
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ただ、頂上は桜島(活火山島)と鹿児島市街地が望める人気のビュースポットとなっているので、景色を楽しんでください。
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