89.佐賀城 その3

城の役割は変わっていきます。

特徴、見どころ

今に残る外堀

お時間があれば本丸から、まだ残っている外堀の方に歩いてみてはいかがでしょう。本丸の端まで歩いて行くと、石垣のラインがずっと続いているのが見えます。このうちの一部は、西南隅櫓台石垣とともに最近になって復元されたものです。これらの復元により、城の本来の姿が少しずつ甦りつつあります。外堀は今でも水に満たされていて、50m以上の幅があります。この風景を見ていると、この城はもともと多くの堀や水路によって守られていたのだと改めて認識します。

城周辺の航空写真

長く続く本丸の石垣
復元された西南隅櫓台石垣
現存する外堀

その後

明治維新後、佐賀城は佐賀県庁舎として使われました。そのため、佐賀の乱ではここが戦場となったのです。佐賀の乱が終わってからは、焼け残った本丸は校舎として使われました。しかし、本丸御殿は1920年に解体されてしまい、城主の居間は他の公園に移設されました。その後も残っていた鯱の門は、1957年に重要文化財に指定されました。1989年、佐賀県は発掘と調査研究を行った後御殿を復元し、歴史博物館として活用することを決定しました。御殿のうち、表と呼ばれる公の政務を行う場所が主に復元され、元の場所に戻された城主の居間と組合わされました。御殿は、2004年に佐賀城本丸歴史館として再度公開されました。

オリジナルの本丸御殿の古写真、明治時代 (licensed under Public Domain via Wikimedia Commons)
鯱の門の内部
佐賀城本丸歴史館となった本丸御殿
本丸の現存または復元された建物・構築物の模型、佐賀城本丸歴史館にて展示

私の感想

佐賀県は、復元された本丸御殿をもって、佐賀藩が江戸時代末期においてどのような役割を果たしてきたか示そうとしています。この城跡には、他にも天守台石垣のような見どころがあります。これらを比べてみると、城の役割というのが変化してきたということがわかります。水で満たされた堀は完全に防御のためでした。天守はそれに権威を付け加えました。そして、御殿は統治と居住のために作られたのです。これらにより、佐賀城には幅広い機能が備わったのだと思います。

防御のための外堀
権威を示す天守台
統治のための本丸御殿

ここに行くには

車で行く場合:長崎自動車道の佐賀大和ICから約20分のところです。本丸にある駐車場に停めることができます。
公共交通機関を使う場合は、JR佐賀駅から佐賀市営バスの佐賀城跡線に乗って、佐賀城跡バス停で降りてください。
東京または大阪から佐賀駅まで:新幹線か飛行機を使って博多駅に行き、そこから特急に乗ってください。

この写真の奥の方の場所が駐車場になっています

リンク、参考情報

佐賀県立 佐賀城本丸歴史館
・「よみがえる日本の城21」学研
・「幕末維新と佐賀藩~日本西洋化の原点」中公新書

これで終わります。ありがとうございました。
「佐賀城その1」に戻ります。
「佐賀城その2」に戻ります。

89.Saga Castle Part2

Its Main Enclosure restored like it was at the end of Edo Period.

Features

Remaining Front Gate of Main Enclosure

Today, the ruins of Saga Castle mostly became the area for the official buildings such as the Saga Prefectural Office. The Outer Moat still surrounds the area, but other water moats, such as the Inner Moat, were reclaimed. The Main Enclosure, which survived the Saga Rebellion, has mainly been developed as a historical park. The front gate of the enclosure, called the Shachi-no-mon, is one of the few remaining castle buildings at the site. When you pass through the gate, you can see several bullet holes from the rebellion on the columns and doors. These are physical signs of the reality of the battle during the rebellion.

The aerial photo around the castle

The remaining front gate of the Main Enclosure
Entering the gate
Are these smalls holes on the column from gun shots during the Saga Rebellion?

Restored Main Hall of Main Enclosure

Inside the gate, The Main Hall, which Naomasa rebuilt, was partly restored recently in its original form. In front of the entrance, there are some actual objects and replicas of the cannons which the Saga Domain imported from the West at the end of the Edo Period. The cannons the domain itself manufactured unfortunately do not remain. If some of them were still in existence, they would definitely have become some of Japan’s historical treasures.

The entrance of the restored Main Hall
One of the imported cannons, exhibited in front of the entrance
The interior of the Main Hall

The interior of the hall is very gorgeous, including the large room with 320 tatami mats. There are also exhibitions introducing the achievements of the domain. For example, the miniature model of the reverberating furnace is exhibited to make visitors easily understand that the domain manufactured iron. At the back area of the hall, the residential room for Naomasa Nabeshima called Gozama, was also restored using the original roof tiles and columns. The panel of his life-sized photo is placed at the same position as he sat, so that visitors can picture how he used the room.

The large room of the Main Hall
The miniature model of the reverberating furnace
the residential room for the lord
The panel of Naomasa’s life-sized photo

Large scale Stone wall base for Main Tower

Near the restored hall, the stone wall base for the Main Tower is still there. The details of the tower are still not clear because it was burned down much earlier without particular records about it. However, you can imagine the tower would have been rather large from the scale of the base. Historians speculate the tower may have looked like that of Kokura Castle based on their scales and tradition. You can climb up to the top of the base where you can enjoy a view of the Main Enclosure, especially the Main Hall.

The stone wall base for the Main Tower
Climbing up to the top of the base
A view of the Main Hall from the top
A view of the base from above

To be continued in “Saga Castle Part3”
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89.佐賀城 その2

本丸が江戸時代末期のように復元されています。

特徴、見どころ

現存している本丸正門

現在、佐賀城跡のほとんどは佐賀県庁などの公共施設が立ち並ぶ場所になっています。外堀が今でもこれらの場所を囲んでいますが、内堀など他の堀は埋め立てられています。本丸は佐賀の乱を生き残り、主には歴史公園として整備されています。本丸の正門は鯱の門と呼ばれており、この城跡では数少ない現存建物です。この門を通るときには、門の柱や扉に佐賀の乱での弾痕をいくつか見ることができます。これらは、乱のときに起こった戦いの現実を示す直接の証拠なのです。

城周辺の航空写真

現存する鯱の門
門に入っていきます
柱の小さな穴は弾痕でしょうか

復元された本丸御殿

門の内側では、直正が再建した御殿が、元通りの様式で部分的に復元されています。その入口の前には、江戸末期に佐賀藩が西洋から輸入した大砲の実物や複製品が展示されています。佐賀藩自身が製造した大砲は、残念ながら残っていません。もしそのうちいくらかでも残っていれば、間違いなく国宝級の歴史遺産となっていたことでしょう。

復元された御殿の入口
入口前に展示されている輸入大砲の実物
御殿の内部

御殿の内部はとても豪華で、320畳の大広間などがあります。また、佐賀藩が成し遂げた業績に関する展示もあります。例えば、藩がどのように製鉄を行ったのか理解できるよう反射炉の模型が展示されています。御殿の奥の方では、御座間と呼ばれる鍋島直正の居間がオリジナルの屋根や柱を使ってこれも復元されています。直正の等身大の写真パネルが、彼が座っていたのと同じ所に据えられていて、どのようにその場所を使っていたのか想像できます。

御殿の大広間
反射炉の模型
御座間
直正の等身大のパネル

大規模な天守台石垣

復元された御殿の近くには、天守台石垣が残っています。天守の詳細はいまだ不明です。天守に関する確かな記録がないまま、早々に焼けてしまったからです。しかし、天守台の大きさから、天守はかなり大きかったであろうと想像できます。歴史家は、天守台の大きさと言い伝えから、天守は小倉城のものに似ていたのではないかと推定しています。天守台の上には歩いて登ることができ、そこからは本丸、特に御殿の上からの眺めを楽しむことができます。

天守台石垣
天守台の上に登ります
天守台から見た本丸御殿
上から見た天守台

「佐賀城その3」に続きます。
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