56.竹田城 その3

廃城となって400年以上も経つのに、石垣がそのままのごとく残っていることがいまだに信じられません。頻繁に修繕され維持されているにしても、こんなに長い間石垣だけが残っている理由が見つけられないでいます。

特徴、見どころ

城の中心部から南峰へ

「花屋敷」と呼ばれる中心部から西の峰上にある曲輪には、遺跡の保存や安全確保の観点から、通常立ち入ることができません。この曲輪は他の部分よりも急な峰上に築かれていて、城の搦手道を防衛するために設けられたと言われています。

城周辺の地図

花屋敷
通常この曲輪には入れません

よって、見学路は南峰の方に行き、狭い南二の丸と大きな南千畳に入っていきます。この構成は北峰と似ています。そこから城の中心部分の方を振り返ってみると、山頂が全て素晴らしい石垣に覆われているのが見えてとても良い景色です。山の周りの眺めも圧巻です。

南峰の方に進みます
南二の丸
南二の丸から見た城の中心部分
南千畳の方に出ていきます
南千畳
南千畳からの景色

帰り道は南峰の端の方から出ていて、ここも城の出入口であったようです。そして、最初に通ってきた舗装路に戻っていきます。

南千畳からの出口
外側から入口としてみています
帰り道
元来た道に戻りました

その後

江戸時代初期には竹田城は廃城となり、城の全ての建物は撤去されました。ところが、城の石垣はなぜかそのまま残りました。同時期に廃城となった他の城では、石垣も破壊されています(幕府に反抗しようとする者に再利用されないためです)。竹田城に石垣が残ったことは奇跡なのかもしれません。城跡は、1943年に国の史跡に指定されました。それ以来、この現役さながらの石垣を生かし、映画のロケ地に使われたりしました。そして2007年に、ある写真家が天空の竹田城の作品を発表し受賞してからは、城そのものも有名になりビジターの数は急増しました。

意図的に崩された岩国城の石垣
V字型に破壊された肥前名護屋城の石垣
宇陀松山城の雀門跡、石垣まで徹底的に撤去されました

私の感想

私は、竹田城のすばらしい石垣に3回驚かされました。1回目は単純に高い山の上にある石垣が印象に残りました。このような険阻な場所になぜ、どうやって石垣が築かれたのだろうと考えました。天下人にとって竹田城がそれだけの価値があったことと、石垣を築いた斎村政広が行ったことを学んで、少しはわかったように思います。次に、地元の人たちが石垣を保存し且つビジターが安全に見学できるように大変な努力を払っていることも驚きでした。また、城のオリジナルの縄張りが今でもビジターが城跡の中をスムーズに歩けることに役立っているとも感じました。最後に、廃城となって400年以上も経つのに、石垣がそのままのごとく残っていることがいまだに信じられません。私の知る限り、竹田城と同じような経緯で同じように残っている事例はないように思います。もちろん石垣は頻繁に修繕され維持されているにしても、こんなに長い間石垣だけが残っている理由が見つけられないでいます。

上記の城と同じ時期に廃城になったにも関わらず、竹田城の石垣は健在です

ここに行くには

車で行く場合:北近畿豊岡自動車道の和田山ICから約10分のところです。山の中腹にある「山城の郷」に駐車することができます。
公共交通機関を使う場合は、JR竹田駅から天空バスに乗って、終点の竹田城バス停まで行ってください。そのバス停は、城跡の入口の約1km手前となります。また、駅から歩く場合は約40分かかります。
東京または大阪から竹田駅まで:山陽新幹線に乗って、姫路駅で播但線に乗り換えてください。

リンク、参考情報

竹田城跡公式ホームページ
・「城郭研究の新展開1 但馬竹田城/城郭談話会編」戒光祥出版
・「日本の城改訂版第10号」デアゴスティーニジャパン

これで終わります。ありがとうございました。
「竹田城その1」に戻ります。
「竹田城その2」に戻ります。

56.Takeda Castle Part2

The current tourist route is very similar to the bypass route the castle originally had. Hence, the route for the defenders of the castle in the past makes it possible for current visitors of the ruins to move smoothly as well.

Features

Well-developed Castle Ruins

Today, the ruins of Takeda Castle have been well developed to maintain them and control many visitors. If you want to drive to the ruins, you need to park at a tourist facility called “Yamajiro-no-sato” (or “the Village of the Mountain Castle”) and get to the ruins by a taxi, a bus, or walking. Even if you use a taxi, you will still need to walk the last kilometer from where you are dropped off to the ticket office, the entrance of the ruins. The path to the entrance is paved, but the terrain of the mountain is steep and rough when you walk along this path. You may wonder why and how the builders built a castle with great stone walls on such a mountain.

The map around the castle

The tourist facility
Everyone must walk from here
You can see very steep and rough slopes beside the path
Arriving at the ticket office

In the ruins, the tour routes are set one way and the range for visitors to walk around is also limited by poles and ropes. The stone walls and the foundations of the castle look well maintained. This is done by officials closing the ruins for a certain period of time to repair them every year. These activities contribute to keep the ruins in a good condition as well as securing the safety of visitors. For instance, visitors first enter the entrance of Kita-Senjo (meaning Northern 1,000 mat Enclosure in Japanese) at the edge of the northern ridge, then, walk on the ridge, pass the side of the stone wall base for the Main Tower at the Main Enclosure, walk on the southern ridge, and finally get out from the edge of it. This route is very similar to the bypass route the castle originally had. Hence, the route for the defenders of the castle in the past makes it possible for current visitors of the ruins to move smoothly as well.

The map around the castle

You can’t access the edge of an enclosure at the site

Entrances and routes are strictly protected

To get back to the entrance at the edge of the northern ridge, it has a defensive square space surrounded by high stone walls, called “Masugata”. It also had gate buildings on it, where the defenders would attack enemies outside by using guns and arrows. If the enemies reached the gate, they would be locked in the Masugata system.

The entrance of the castle ruins
The Masugata system at the edge of the northern ridge (called the Main Gate at the site)
The Masugata system seen from the inside

Inside the entrance, there is the extensive Kita-Senjo Enclosure, where as the name suggests, could accommodate lots of soldiers and supplies in the past, or tourist groups and events in the present.

The Kita-senjo Enclosure
A view around the enclosure
The Third Enclosure seen from the Kita-senjo Enclosure

If you want to go to the center of the ruins, you will pass another Masugata system to the Third Enclosure and an altered gate built with stone walls to the Second Enclosure through the zigzagging path.

The Masugata system in front of the Third Enclosure
Entering the Third Enclosure
The Third Enclosure
Going to the Second Enclosure

You will next walk on a narrow northern ridge through the Third and Second Enclosures, looking at the center of the castle with lots of stone walls and a view of the area around below. The route is guided by the official instructions to walk around safely in the narrow area.

The tourist routes are guided by the official instructions
The Second Enclosure
The lots of stone walls in the center, seen from the Second Enclosure
A view from the Takeda city area below

Main Enclosure with remaining Stone Wall Base for Main Tower

You will eventually reach the center, the Main Enclosure with the stone wall base for the Main Tower. The route goes beside the base on wooden steps and there are other wooden steps to the base. The base was built using natural or roughly processed stones in the Nozura-zumi method, which look really great. Some historians speculate that a three-level Main Tower might have been built on the base, according to the size of the base.

Arriving at the Main Enclosure
The route goes on the wooden steps beside the base
The stone wall base for Main Tower
The top of the base
A view from the base

To be continued in “Takeda Castle Part3”
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56.竹田城 その2

現在の見学ルートは、城にもとからあったバイパスルートをほぼなぞって設定されています。つまり、過去に城の守備兵のために作った通路が、現在のビジターが城跡をスムーズに移動するためにも役立っているのです。

特徴、見どころ

よく整備されている城跡

現在、竹田城跡はよく整備されていて、城跡を維持していたり、多くのビジターにうまく対応しています。もし車で城跡に行きたいのでしたら、「山城の郷」という観光施設に駐車する必要があります。そしてそこからは、タクシーかバスか徒歩で城跡まで行くことになります。タクシーを使った場合でも、降車場所から城跡の入口である券売所までの最後の1キロほどは歩いていく必要があります。入口までの道は舗装されていますが、歩いている途中で見る山の地形は急で険しいのがわかります。このような山の上に、あのような立派な石垣をなぜ、どうやって築いたのだろうと不思議な思いをされるかもしれません。

城周辺の地図

山城の郷
ここからは皆歩きです
道の脇は急坂です
券売所に到着です

この城跡では、見学路は一方通行に設定されていて、ビジターが歩き回れる範囲も杭にロープが張られて規制されています。城の石垣と基礎はとてもよく維持されているように見えます。これは毎年決まった時期に城跡を閉鎖し、その間に修繕を行っているからです。こういった活動により、城跡の状態がよく保たれ、ビジターの安全も確保されているわけです。具体的には、ビジターは最初に北峰の端にある北千畳に入っていきます。それから峰上を歩いていき、本丸にある天守台石垣の脇を通り過ぎ、南峰を進んで最後はその峰の端から外に出ます。このルートは、城にもとからあったバイパスルートをほぼなぞって設定されています。つまり、過去に城の守備兵のために作った通路が、現在のビジターが城跡をスムーズに移動するためにも役立っているのです。

城周辺の地図

石垣の端には立ち入りできません

厳重に守られている城の入口と通路

北峰の端に戻って説明すると、そこは「桝形」と呼ばれる高石垣によって囲まれた四角いスペースによって守られています。かつてはその上に門の建物が乗っかっていました。敵が攻めてきたときには、そこから鉄砲や矢で反撃できるようになっていました。もし敵が門に到達したとしても、桝形の中に閉じ込められる仕組みになっていたのです。

城跡の入口
北峰の端にある桝形(現地では大手門と表記されています)
桝形を内側から見ています

この入口の内側には広大な北千畳曲輪があります。その名前が示す通り、過去には多くの兵員や物資を収容でき、現在では観光客のグループの待機場所になったり、イベントも開催できるような場所になっています。

北千畳
北千畳の周りの風景
北千畳から三の丸を見ています

城跡の中心部分に行くには、もう一つの桝形を通って三の丸に行き、ジグザグの通路を経由して、石垣によって食い違いになっている出入口を通って二の丸に向かいます。

三の丸入口の桝形
三の丸に入っていきます
三の丸
二の丸に向かいます

そして、三の丸と二の丸がある細い北峰上を歩いていくと、多くの石垣がある城の中心部分や、眼下には周辺地域の景色が見えます。見学路の道順は案内板によって示されていて、この狭い場所でもビジターが安全に見て回れるようになっています。

見学順路がきちんと設定されています
二の丸
二の丸から見た城の中心部の石垣
眼下の竹田の街並み

天守台石垣が残る本丸

そうするうちに、天守台石垣が残る城の中心部である本丸に着きます。見学路は木製の階段になり、天守台の脇を通っています。別の階段が天守台の方に向かっています。天守台は、野面済みという自然石あるいは粗く加工された石を使う手法によって積み上げられています。とても壮観です。歴史家は、天守台の大きさから三層の天守がその上に建っていたのではないかと推定しています。

本丸に到着
見学ルートは天守台をバイパスします
天守台石垣
天守台の上
天守台からの景色

「竹田城その3」に続きます。
「竹田城その1」に戻ります。