180.岡豊城 その3

一領具足の再来

特徴、見どころ

城跡を歩き回る

城の主要部分とは少し離れた場所に、伝厩跡曲輪があります。ここも物見台として使われていました。

城周辺の地図

伝厩跡曲輪

この城にはまた、敵の攻撃を防ぐために、多くの空堀が山の垂直方向と水平方向の両方に掘られました。今もそのうちのいくつかが残されています。

竪堀
横堀

この城跡には現在、多くの通路がネットワークのように巡らされていて、多くの曲輪ではくつろいだり休憩することができます。歴史を学ぶだけでなく、散歩を楽しんだり、リラックスすることができる場所です。

城跡を巡る通路
伝厩跡曲輪からの景色

その後

岡豊城が廃城となった後、長宗我部氏は、徳川幕府により不幸にも改易となってしまいました。山内氏が掛川城より、土佐国を治めるためにやってきて、高知城を居城としました。残された一領具足の人たちは江戸時代の間、山内の上級武士(上士)から下級武士(郷士)として虐げられました。しかし、彼らは反骨精神を持ち続け、明治維新のときにはこの中から坂本龍馬や中岡慎太郎といったヒーローが現れ、後の日本を変えていくことになります。

坂本龍馬肖像画、「近世名士写真 其二」より (licensed under Public Domain via Wikimedia Commons)
中岡慎太郎写真、「維新土佐勤王史」より (licensed under Public Domain via Wikimedia Commons)

城跡に関しては、最初は桜の木が植えられ、通常の公園として整備されました。1985年から1990年の間には発掘が行われました。それ以来、城跡は岡豊山歴史公園として整備されています。2008年にはついに国の史跡に指定されました。更には、1991年には高知県歴史民俗資料館が公園の傍で開館しました。そこでは、城や長宗我部氏のことをより学ぶことができます。

城跡にある記念碑

私の感想

長宗我部氏の本拠地となった3つの城を一度に見て回ることをお勧めします。それぞれが近い位置にあるからです。高知城は、基本的には山内氏の遺産として残っていますが、この城の丘陵部分には岡豊城のようにいくつもの段があり、これは長宗我部氏の時代に由来するのではないでしょうか。浦戸城跡は、現代の施設建設により大半が破壊されてしまっていますが、桂浜では雄大な太平洋を、その近くでは有名な坂本龍馬像を見ることができます。

高知城
高知城にも多くの段があります
浦戸城跡
桂浜
坂本龍馬像   (taken by 末っ子魂 from photoAC)

ここに行くには

この城跡へは、車で行かれることをお勧めします。
高知自動車道の南国ICから約10分かかります。
公園に駐車場があります。
東京や大阪からは、飛行機来られることをお勧めします。空港からはレンタカーを借りるのがよいでしょう。この周辺地域はバスの便数が少ないですので。

公園の駐車場

リンク、参考情報

国史跡 岡豊城跡、高知県立歴史民俗資料館
・「戦国の山城を極める 厳選22城/加藤理文 中井均著」学研プラス
・「長宗我部氏/長宗我部友親著」文春文庫
・「よみがえる日本の城13」学研
・「日本の城改訂版第26、42号」デアゴスティーニジャパン

これで終わります。ありがとうございました。
「岡豊城その1」に戻ります。
「岡豊城その2」に戻ります。

180.Okoh Castle Part2

A historical park with a laid-back atmosphere

Features

well developed historical park

The location map at the site, with additional English names

The map around the castle

Today, the ruins of Okoh Castle is well developed as a historical park. If you drive to the park, you can easily park your car at the mid slope of the mountain near the entrance of the ruins. If you walk up on the slope from the entrance, you will first arrive at the front of the high earthen walls of the the castle.

The entrance of the castle ruins
The remaining earthen walls at the ruins

From Forth Tier to Third Tier

Then, if you walk around to the right direction, you can enter the Forth Tier through the entrance of the enclosure called Koguchi. The entrance is made narrow and curved by the earthen walls for defense.

The entrance of the Forth Tier
The inside of the Forth Tier

The Third Tier is higher than the Forth Tier, surrounding the Final Tier like belt. The strong stone foundations surrounded by stone-piled earthen walls remain inside the enclosure. The building on the foundations would have been an important structure for the castle.

The inside of the Third Tier
The Third Tier surrounds the Final Tier like belt

Final Tier, Center of Castle

The Final Tier is the highest enclosure of the castle, so it was thought that it had the turret like a main tower. There are no building remaining on the ruins, but you can see a very good view of the Kacho Plain with lots of rice fields instead. You can easily imagine the area around the castle has been warm and rich.

Climbing up to the Final Tier
The inside of the Final Tier
A view from the Final Tier

Second Tier to protect Final Tier

The Second Tier is opposite to the Forth Tier. The enclosure was separated by a ditch from the Final Tier to protect it. There is also a small enclosure named the Lower Final Tier between the Second Tier and the Final Tier, where another turret was probably built.

The Second Tier
The ditch between the Second Tier and the Final Tier
The Lower Final Tier

To be continued in “Okoh Castle Part3”
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180.岡豊城 その2

のどかな雰囲気の歴史公園

特徴、見どころ

よく整備された歴史公園

現地の案内図

城周辺の地図

今日、岡豊城跡は歴史公園としてよく整備されています。もし車で訪れるのでしたら、城跡の入口近くの山の中腹にある駐車場まで容易に行って駐車することができます。その入口から坂道を登っていくと、城の高く積み上げられた土塁が目の前に見えてきます。

城跡の入口
城跡に残る土塁

四ノ段から三ノ段へ

そこから右側の方向に歩いて行くと、虎口と呼ばれる入口から四ノ段に入っていきます。この入口は防御のために、土塁によって狭く、且つ曲げて作られています。

四ノ段虎口
四ノ段内部

三ノ段は四ノ段よりも高い位置にあり、最上段の「詰(つめ)」をベルトのように囲んでいます。この曲輪の内側には、石積みされた土塁に囲まれて、強固な礎石が残っています。この礎石の上にあった建物は、城にとって重要な建物であったのでしょう。

三ノ段内部
詰をベルト状に囲んでいます

城の中心部「詰」

「詰」は、城では最も高い位置にある曲輪で、天守のような櫓があったと考えられています。城跡には建物は残っていませんが、その代わりに、多くの水田が映える香長平野の素晴らしい眺めが楽しめます。この城の周辺地域は、昔から温暖で豊かだったのだろうと容易に想像がつきます。

詰に登っていきます
詰の内部
詰から見える景色

詰を守る二ノ段

二ノ段は、四ノ段の反対側にあります。この曲輪は堀切により「詰」と隔てられており、「詰」を守る形になっていました。ここにはもう一つ詰下段(つめかだん)という曲輪が二ノ段と「詰」の間にあり、恐らくここにも櫓が建てられていました。

二ノ段
堀切
詰下段

「岡豊城その3」に続きます。
「岡豊城その1」に戻ります。