156.鎌刃城 その3

十分な準備と時間をかけて行きましょう。

特徴、見どころ

城の中心部、主郭

主郭にたどり着くには峰の上に続くもう三つの曲輪を通り過ぎていきます。主郭には石段を伴った虎口跡があり、石垣により囲まれています。発掘により、他にも多くの石垣が発見されましたが、保存のために埋め戻されてしまったそうです。いつ誰がこのような構造物を作ったのかいまだ明らかではありません。しかし、浅井氏が築いた小谷城に残っているものと類似していると指摘する歴史家もいます。

城周辺の地図

主郭に向かいます
主郭の虎口跡 (licensed by HikaruKinkakuji via Wikimedia Commons)
小谷城黒金門跡

その後

廃城となった後、鎌刃城は400年以上埋もれてきました。城跡を管理する米原町(現在の米原市)は、1996年から2000年の間、調査と発掘を行いました。その結果、この城はその当時の山城としては驚くほど先進的なシステムを持っていたことが判明したのです。その成果を受けて、2005年に城跡は国の史跡に指定されました。

鎌刃城跡の石垣
大櫓跡にある展望台

私の感想

正直に言いますと、私はこの城跡を訪れるのに、十分な準備と時間を確保できませんでした。この城跡に行くのに登山が必要だとは思っていなかったのです。その結果、城跡の全体を見ることはできませんでした。登山には(危険な箇所や野生動物との遭遇などの)リスクが伴いますので、できましたらグループで行かれる方がよいと思います。
また、城跡に行くのに車を使い林道を通れば、城跡の近くまで行ける別ルートもあるとのことです。いつの日か事前によく調べて城跡全体をしっかり見てみようと思います。

名神自動車道彦根43番ゲートからの山道
野生動物には気を付けてください

ここに行くには

この城跡に行くには、車を使われることをお勧めします。
名神自動車道の米原ICから約5分のところに、旧番場宿の駐車場があります。自動車道の彦根44番ゲートの近くです。
公共交通機関を使う場合は、JR米原駅から東レカーボンマジック行きの湖北バスに乗り、番場バス停で降りてください。
東京から米原駅まで:東海道新幹線に乗ってください。

旧番場宿にあるビジター向け駐車場
駐車場から彦根44番ゲートに向かう道

リンク、参考情報

鎌刃城公式サイト
・「戦国の山城・近江鎌刃城/米原市教育委員会編」サンライズ出版
・「歴史群像56号、戦国の堅城 近江鎌刃城」学研
・「信長と消えた家臣たち 失脚・粛清・謀反/谷口克広著」中公新書

これで終わります。ありがとうございました。
「鎌刃城その1」に戻ります。
「鎌刃城その2」に戻ります。

156.Kamaha Castle Part2

Ruins in the animal kingdom now

Features

Several Routes to Castle Ruins

Today, visiting the ruins of Kamaha Castle needs climbing up the mountain. There are several routes for visiting them. Probably the popular ones are from the old Banba Station on the old Nakasendo Road, because they reach the front side of the castle. You have to walk on the routes for about 1 hour, but many signs will lead you along the way. From the station, you will first go through the underpasses of Hikone44 or 43 of the Meshin Expressway. You have to open and close the front wire netting gate in order to shut animals outside it when you pass. The inside of the gate is basically the animal kingdom now. the route from Hikone44 is relatively smooth but longer, and the one from Hikone43 is shorter but comparatively steeper. The route from Hikone43 seemed to be the original Main Route.

The map around the castle

The old Banba Station on the old Nakasendo Road
A distant view of the mountain where the castle was built
The underpass of Hikone44 of the Meshin Expressway
The underpass of Hikone43 of the Meshin Expressway

If you choose the route from Hikone44, the first part of your visit is completely a trek. You will go on the trail along natural valleys and ridges for over 30 minutes. The signs will show you when you are close to the castle ruins. You will also find a bear-avoiding bell that you can ring. You may not visualize there was an advanced castle where many people usually used it over such a place.

Going on the trail from the underpass of Hikone44
A bear-avoiding bell
Going on a ridge
Closing to the castle ruins

Large Ditch and Stone Walls

You will first reach the Large Ditch in the northern edge of the castle. It may look like a natural valley, but, in fact, it is artificial. The enclosure behind the ditch is called the North VI.

The map around the castle

The Large Ditch
Looking up the North VI Enclosure from the Large Ditch

You can see the Large Stone Walls in the western side of the enclosure. These stone walls were made in a unique method which uses clay to fill in the gaps.

The Large Stone Walls
The cray between the stones can’t be seen just looking at them

Ruins of Large Turret and Entrance

Large scale earthen walls also remain on the enclosure, which supported the Large Turret in the past. A simple wooden observation platform stands there now.

The North VI Enclosure
The remaining earthen walls of the enclosure
Looking down the Large Ditch from the observation platform
A view from the observation platform

The next part is the North V Enclosure which has the other entrance ruins with stone steps and stone mound than those in the Main Enclosure.

The entrance ruins of the North V Enclosure
Water is supplied in the enclosure from its source somewhere

After that is the North IV Enclosure has another wooden observation platform for visitors probably because it is a good viewing spot. You can enjoy a good view of the Omi Plain beside Biwa Lake.

The North IV Enclosure
The observation platform in the North IV Enclosure
A view from the observation platform

To be continued in “Kamaha Castle Part3”
Back to “Kamaha Castle Part1”

156.鎌刃城 その2

今は動物の世界となっている城跡

特徴、見どころ

城跡へのルート

現在、鎌刃城跡を訪れるには、登山の準備が必要です。城跡へはいくつかのルートがあり、もっとも一般的なのは旧中山道の番場宿から行くルートでしょう。城の正面側に至る道だからです。約1時間かけてこのルートを歩いていく必要がありますが、案内標識がたくさんあるので道に迷うことはないでしょう。宿場からは最初、名神自動車道の彦根44番か43番ゲートをくぐって進んでいきます(このルートも2つに分かれています)。これらのゲートを通るときにはフェンス扉を開けた後、動物が外側から侵入しないようしっかり閉める必要があります。この扉の内側は、今では基本的には動物たちの世界になっているわけです。彦根44番からのルートは比較的緩やかですがその分長いです。彦根43番からのルートは短い分急です。この43番からのルートが元々の大手道だったようです。

城周辺の地図

旧中山道番場宿
城跡がある山の遠景
名神自動車道の彦根44番ゲート
名神自動車道の43番ゲート

もし彦根44番ゲートを選んだ場合、かなりの部分はトレッキングそのものとなります。30分以上自然の谷や峰に沿った山道を進んでいきます。案内標識が城跡まであとどのくらいの距離なのか表示してくれます。また、熊除けのためのベル(鐘)が途中にあり、自分で鳴らすことができます。このような場所にかつては先進的な城があり、多くの人々が行き交っていたとはちょと想像できません。

44番ゲートから山道を進みます
ところどころにある熊除けベル
峰の上を進みます
もうすぐ城跡です

大堀切と大石垣

そのうちにまず、城の北端にある大堀切に到着します。一見して自然の谷のようにも思えますが、実際には人工に作られたものです。この堀切の奥にある曲輪は、北― VI(第六)曲輪と呼ばれています。

城周辺の地図

大堀切
大堀切から北―VI(第六)曲輪を見上げます

この曲輪の西側には大石垣が見られます(石垣がはっきり見えるのは隣の曲輪の側面のようですが)。この石垣は独特の方法で築かれていて、石の隙間を埋めるのに粘土が使われています。

大石垣
現在では石の隙間の粘土は見ただけではわかりません

大櫓と虎口の跡

大規模な土塁もこの曲輪に残っていて、過去には大櫓を支えていました。現在は、簡単な木組みの展望台があります。

北― VI(第六)曲輪
曲輪に残る土塁
展望台から大堀切の方を見下ろす
展望台からの眺め

その次の北―V(第五)曲輪には、主郭とは別に、石段と石積が残っている虎口跡があります。

北―V(第五)曲輪の虎口跡
この曲輪には水源から水が引かれています

そこから先の北―IV(第四)曲輪には、木組みの展望台がもう一つあります。おそらくそこが絶好のビューポイントだからでしょう。そこからは、琵琶湖沿いに広がる近江平野の景色が見えます。

北―IV(第四)曲輪
曲輪にある展望台
展望台からの眺め

「鎌刃城その3」に続きます。
「鎌刃城その1」に戻ります。